世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.1672
世界経済評論IMPACT No.1672

日本のソフトパワーへの高い評価:ASEAN地域の専門家の調査(続き)

石川幸一

(亜細亜大学アジア研究所 特別研究員)

2020.03.30

 ASEANでは日本のソフトパワーは高い評価を受けている。主要国で最も尊敬されている国であり,文化に対しても敬意が払われている。調査(注1)の対象となった国はASEANの対話国だが,世界の主要国がカバーされており,日本は世界で最も尊敬されている国といってよいだろう。これは,日本の最大の資産である。その源泉は経済力,軍事力ではなく,文化,自由貿易の推進と擁護,国際法とルールの順守と擁護などの面での信頼である。

 外国語では世界の実質的共通語である英語が圧倒的に強く,留学先も英語圏が上位に来るのはやむを得ないが,日本語はフランス語やドイツ語を抑えて3位であるし,留学先でも英語圏およびEU以外ではトップである。経済と政治面で圧倒的な存在感を持つ中国は,学びたい外国語では中国語が第2位となっているものの,信頼度は低く留学先や旅行先としても人気は高くない。

仕事と専門的キャリアで最も有用かつ有益な外国語

 「仕事とキャリアで最も役に立ち利益をもたらす外国語」は,英語が圧倒的に多く95.4%,続いて中国語が39.1%となっている。ASEANの親中国家であり中国との経済関係を深めているカンボジアでも英語が96.2%となっており,中国語は23.1%だった。中国語という回答が多いのはシンガポールで73.4%(英語は87.4%),次にマレーシアで49.7%である。第3位は日本語で14.2%,以下フランス語12.2%,韓国語4.5%,ドイツ語4.0%,ヒンディ語2.1%だった。日本語という回答が多いのは,シンガポール18.5%,マレーシア17.8%,フィリピン15.3%である。英語はASEANの公用語であり,世界の共通語的な位置を占めている。中国語も華人系住民の比率が高いシンガポール,マレーシアで高い比率を占めている。日本語は他の言語を抑えて3位となっており,日本語教育の支援,日本語の普及に引き続き注力すべきである。

どこの国の大学に留学したいか

 「奨学金を得たらどの国で大学教育を受けたいか」については,米国が29.3%,英国が23.3%,豪州が13.8%と英語圏が上位となっている。第4位はEUで12.2%,日本は第5位で8.9%である。以下,ニュージーランドが4.7%,ASEAN加盟国3.7%,中国3.1%,韓国0.8%,インド0.2%となっている。日本という回答が多いのはミャンマー(19.7%)で米国の25.0%に続いて第2位である。マレーシアでも日本(14.1%)は2位である。親中国カンボジアでは中国という回答はゼロだった。急速に中国に接近しているフィリピンの中国という回答は1.5%だった。

訪れたい国

 「訪れたい国」は日本が26.2%でトップである。第2位はEUで19.7%,以下,ASEAN加盟国11.6%,米国11.2%,英国8.9%,ニュージーランド8.2%,豪州7.3%などとなっている。日本は7カ国で首位であり,とくにタイは39.6%,シンガポールは38.7%と高かった。中国は2.1%と低く,カンボジアは親中国にも関わらず0%である。音楽や映画が人気のある韓国は4.0%である。なお,本調査の実施時期はコロナウィルス感染が拡大するまであり,コロナウィルス拡大の影響は入っていない。

その国への尊敬と文明と文化に対する敬意

 「その国に対する尊敬と文化と文明に対する敬意」は,日本が23.2%で最も高く,インドが22.0%で2位となっている(注2)。インドという回答はタイ(50.0%)とミャンマー(35.4%)で高い。これは仏教が影響しているのかもしれない(同じ上座部仏教国であるカンボジアとラオスは0%だが)第3位は中国で18.1%,以下EU9.3%,米国5.3%となっている。中国という回答が多いのは,タイ,シンガポール,マレーシアである。

[注]
  • (1)調査については,世界経済評論インパクト1664を参照。
  • (2)この質問は各国を横並びとするする質問ではなく,各国について信頼する理由を問う質問の回答を比較したものである。
(URL:http://www.world-economic-review.jp/impact/article1672.html)

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