世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)
北京訪問記:雇用問題がカギの中国
(多摩大学 客員教授)
2025.01.13
昨年11月30日,待ちに待った中国ビザなし訪問が再開された。12月半ばに今年の講義が終了するので,クリスマス前の時期の回燕を決めた。実に5年振りの訪中である。日本人の知人からは,中国観察レポートを公表している身で大丈夫か,現地で拘束されるのではないかと心配する声を頂いたが,友人の中国人教授は「政治絡みの記事を書いていない限り,全く問題ありません」という「お墨付き」を頂き少し安心した。
北京での行動については,20年来の付き合いのある米系のリスクマネジメント・コンサル会社のスタッフに随行をお願いした。
回燕の目的は,まず,この季節の「旬」でもある羊肉料理を堪能すること。次に,この5年間で変わったことと変わらないことを見て,聞いて,感じることだ。
以下,二泊三日,55時間の短い旅の報告である。
少ない日本人乗客
JL21便は,定刻通りに出発した。座席は7割程度埋まっていたが,日本人乗客は数えるほどで商用と思しき日本人乗客はほんの数名だった。残りは殆どが中国人。ビジネスクラスのキャビンに乗り込むのも中国人ばかりである。
漏れ聞くところでは,ある大手商社は,不要不急の中国出張を禁止しているという。自ら手を挙げて中国に出かけようとする社員もガタ減りとのことだ。これは,2014年国家保守秘密保護法とこれに基づく反スパイ法が,2023年に改訂され,「スパイ行為」の範囲が広がった。すなわち,「スパイ組織及びその代理人以外のその他の国外の機構,組織,個人が実施する,若しくは他人に指示,資金援助して実施する,又は国内の機構,組織,個人がそれと互いに結託して実施する,国家秘密,インテリジェンス及びその他国家の安全と利益に関わる文書,データ,資料,物品の窃取,偵察,買収,不法提供,又は国家の職員を策動,誘惑,脅迫,買収し,裏切るようにさせる活動」を摘発の対象とするが,詳細が明らかにされていないため,「キャッチオール」になりかねないという懸念があるためだろう。
同法は,天安門事件の前年の1988年に制定された国家秘密保護法をベースとしている。ソ連のゴルバチョフ書記長が,ペレストロイカ,グラスノスチを開始し,ソ連,東欧圏が大揺れに揺れていた時代だ。鄧小平党中央軍事委員会主席は,「政治改革と経済改革を一緒にやるのは大バカ者だ」と吐き捨てたと言われるが,まさに改革開放のとば口で起こったソ連・東欧の崩壊につながる改革に,安全保障上の危機感を惹起されたことが背景にあると考える。
反スパイ法が制定されて以降10年間で拘束・逮捕された日本人は確認されただけで17人に上ると言われるが,それ以前でも,日本人拘束の事例はある。ピーク時で年間4百万人,その後減ったとは言え,年間2百万人の日本人が訪中している。また,在中日本人も減少傾向にあるものの10万人前後のレベルだ。17人という数が多いか少ないかは自ずと知れよう。
また,2023年の反スパイ法改訂は,米中対立の激化が大きく影響している。CIAのバーンズ長官は,対中諜報活動を大幅に拡充し,千人を超える中国語話者を現地工作員として雇用していると語っている。また,国務省がスポンサーとなっている全米民主主義基金も香港の民主化運動に多額の資金を投じているという。中国外交部はホームページで当該基金の活動を詳細に紹介しているほどだ。当然,中国側もスパイ取り締まりを強化しなければならない。
従い,普通の日本人ビジネスマンが反スパイ法を恐れる理由は殆どないと言って良いと思う。無論,軍事施設のある場所や「中国あるある」のSNS投稿目的で受け狙いの写真をやたらと撮ったりするのは止めるべきだし,中国人相手に政治を話題にするのも控えるべきだ。2024年は無差別殺傷事件が頻発したが,日常的に起こっているわけではない。日本社会にはびこる嫌中,恐中感は,いささか被害妄想の域に達しているのではないか。
北京首都空港
定刻に離陸した飛行機は到着予定時刻の10分ほど前に北京首都空港に着陸した。5年振りとはいえ,この空港ができた2008年以来百回以上利用していることもあって,体が覚えているのだろう,何の違和感も戸惑いもなくパスポートコントロールに向かった。ただ,入国カードの様式が変更されており,ビザの有無や,現地の滞在先に加えコンタクト先を記載する欄が追加されていた。パスポートコントロールのブースの前で指紋と顔認証を行うのは以前と同じである。
到着ロビーで筆者の名前を呼ぶ中国語が聞こえた。旧知のコンサル会社のスタッフだ。飛び上がって手を振っている。駆け寄って両手で握手し5年ぶりの再会を確認した。駐車場まで案内され,車に乗り込んだ。BMWのSUV,それも新車である。中国ではNEVが猛烈に普及しているんじゃないか? と尋ねると,解放軍の機械化部隊にいた彼は「あんなものつまらない,それに冬の北京ではバッテリーが上がってしまうのが心配だ」とにべもない。しかも,NEVに市場を奪われたエンジン車メーカーの4S店が投げ売りをしているので,かなり安く買えたという。
ホテルへ
空港からホテルまでは小一時間。道すがらNEVであることを示す緑ナンバーの車両がどれくらいあるか勘定してみたが,2~3割といったところだった。やはり彼の言うように,寒い北京ではNEVに手が伸びにくいのだろうか。この日の日中の気温は丁度零度だった。もっとも,中国の乗用車登録台数のうちNEVは2,472万台で全登録乗用車の7.1%である。爆発的NEV普及が喧伝されるが,ストックベースで見ればまだまだでそこら中をNEVが走っているわけではない。無論地域差はあるだろうが。
ホテルまでの道すがら目撃した追突事故は3件。いずれも軽微な追突事故だった。ドライバーはいずれも若い。2024年6月時点で中国の運転免許保有者数は4.96億人,乗用車登録台数は3.45億台。成人の三人に一人が免許証を持っているが,免許を持ちながら車をもっていないのは1.5億人。免許試験は相当いい加減であり,試験に通るためには,指導員への付け届けが欠かせない。実技試験は,試験用車両に受験生を3~4人詰め込んで行われる。運転技量は推して知るべし。しかも,一般ドライバーの多くは前しか見ない傾向がある。
ホテルチェックイン後,部屋に荷物を放り出し,ホテル周辺の散策に出かけた。気温零度に加え風も強かったので,厚着をしていても寒さが堪える。空は快晴。空気が澄んでいて喉がいがらっぽくなることもない。従来,北京の地域暖房は石炭を燃料としていたので,この季節,石炭の臭いが漂っていたのだが,天然ガスに切り替わったのだろう。全く臭いはない。「シベリアの力」パイプラインでロシアから送られてきたものか。ちなみに11月にアゼルバイジャンのバクーで開催されたCOP29では,中国の二酸化炭素排出がピークに達し,2025年以降は減少に向かうとの見方が公表されている。太陽光や風力発電,それにNEVの急速な普及が奏功している。
セミナー販売
夕食は20年以上お付き合いのある友人と一緒だった。
席上供された白酒は,山東省産の56度の高級酒。高粱100%で作った酒であり,切れの良い味である。これを提供してくれたのは,日本製サプリメントの中国での販売を行う山東省の会社の社長だという。筆者も何度も会食し,酔っぱらった勢いで義兄弟の契りを交わしてしまった人物だ。
件の社長との付き合いはコロナ禍直前まで5年近くに及んだ。強壮剤のセミナー販売で一山当て,3千人収容のセミナー施設と,研修施設を建設。研修に訪れた販売員の食事を賄うために,有機野菜の栽培まで手を伸ばした。この施設を訪問すると,供される料理の殆どが自社農場で栽培されたもので,中には,セミの幼虫の炒め物や,カエルの醤油煮込もあって閉口したものだ。社長のもう一つの夢は不動産開発で,5つ星ホテルを経営することだった。業績は順調だった。販売員は2万人を超え,成績優秀者にはベンツと海外旅行が贈られた。しかし,2019年頃から,政府のセミナー販売に対する規制が強化されたこと,不動産開発に対しても購入制限措置が強化されるなど逆風が吹き始めた。彼が手掛けた黒竜江省の住宅開発は,資金不足のため工事が中断,債務不履行により失信人(多重債務があり返済が滞っている人)となり,結局2年間服役する羽目となってしまった。失信人ともなれば高速鉄道にも,飛行機にも乗れない。債権者との交渉のため,二泊三日かけ,自家用車で現地に赴くこと数十回に及んだという。悪いことは続くもので,販売担当のトップが癌に侵されるというおまけまでついてしまった。
2年前,社長は無事出所,サプリメント調達ルートも安定し,セミナー販売に対する規制も緩和されたことから業績はV字回復しているという。何よりも大きかったのはセミナー販売に対する規制緩和である。政府の規制が強化された理由は2つある。ひとつは,消費者保護。もう一つは政治活動への関わりを抑え込むこと。セミナー会場で派手な演出を行い,高額商品を売りつける手法が問題となった。また,数千人,数百人の顧客が集まるセミナー会場で政治的な活動が行われるということになれば一大事である。
しかし,環境は大きく変わった。ひとつは雇用問題が深刻化していることである。セミナー販売に従事する販売員の多くが農民工である。経歴不問,出来高報酬なので力量があれば高額の報酬を得ることができる。不動産バブルの崩壊で建設業からは約千万人の農民工が退出した。これに加え,空前の大卒者の就職難が襲い掛かった。セミナー販売は,販売員の数が多ければ多いほど売り上げ増につながる。無論,消費者保護は重要だが,雇用確保も捨て置けない課題になっている。二つ目は,消費者の健康志向が高まっていることだ。コロナウイルス感染者の直接的な死因は心筋梗塞であると言われる。この予防策として中国で注目されたのが,血栓をできにくくする成分を多く含んだ納豆であり,ネット通販では自家製納豆製造キットがヒットした。件の社長が手掛けていたのも,この種のサプリメントであり,これが強壮剤に次ぐヒット商品になっているのだという。販売員には女性が多い。彼女たちは決して裕福ではないが,家族や高齢者を大切にするマインドを持っている。高齢者の受けもよいという。まことに,人生塞翁が馬というべきか。
烤肉季と后海
翌22日10時半,リスクマネジメント・コンサルのスタッフがやってきた。市内のあちこちを移動する予定なのでタクシーを使うことにした。まずは,市内北部の鼓楼に向かった。ホテルの前で配車アプリを使って車を手配し,待つことわずか2分。乗客の現在地は位置情報システムで把握できる。これに行き先を入力すると,到着までの時間,車両のタイプ,金額が表示される。まことに便利である。
しかし,殆ど待つことなく車が来るということは,それだけ供給過剰ということだろう。この日,何度となく配車アプリを利用したが,ドライバーの多くが30代前後。いずれも不機嫌そうな表情で運転していた。以前はホワイトカラーだったのかもしれない。使用している車は,なぜか日系のN社が多い。無論ガソリンエンジン車である。ドアの建付けも悪く外れてしまいそうな危うさもあった。極力安い車両(但しブランドはそこそこ知られたもの)を調達してコストを抑えようとしているのかもしれない。中国で製造されている日本ブランドのガソリン車は投げ売り状態にある。カローラの新車でも11月の販売価格は9万元を切っているのだ。
鼓楼に着き,徒歩で烟袋斜街に入る。細い路地の両側に土産物店が軒を連ねている。その路地を,自転車の荷台に北京の冬の名物「氷糖胡蘆」(サンザシやイチゴを飴や砂糖でコーティングした串団子状のもの)を積み込んだ物売りのおじさんが通り過ぎる。5年前は見られなかった光景だ。城管の規制も緩んだのかもしれない。これも雇用難が裏にあるのだろうか。一本10元と価格は高目だが,現金支払いを受け入れてくれる。
11時過ぎの烤肉季(中国を代表する羊肉,牛肉の焼肉専門店)は,まだお客もまばらだった。文革時代,紅衛兵の迫害を受け入水自殺をした老舎が通ったお店である。オーダーを受けていたおばさんが,「5年ぶりかしらね」とつぶやく。覚えているのかと尋ねると,「そりゃほぼ毎月,日曜日の早い時間に同じ面子で来て,しかも同じものばかり頼むお客なんてめったにいないからね」と当たり前のように言った。
しかし,少し気になったのは,5年前までは,老北京人のグループが次々に店を訪れ,12時前には満席となったものが,今回は12時を過ぎても席は半分程度しか埋まっていない。この店の客単価は200元を超える。やはり節約指向が浸透しているのか。
満腹になって店を出て,后海のほとりを散策する。漢服を着た女性たちを何組か見た。いずれも伝統(国潮)の巻きスカート馬面君を着けている。絵になる光景だ。
城中村の取り壊し
食後,アプリでタクシーを呼んでもらい東風北橋に向かった。ここには東風日産とBMWの大型4S店がある。また,農民工が多く住む地区でもあり,きらびやかな4S店のビルの陰に間口2間程度の小さな食べ物屋や雑貨屋が密集している。夏場にはランニングシャツを胸元までたくし上げたおじさんが,麺家の前に椅子とテーブルを出しトランプに興じる。典型的な都市の中の村「城中村」だ。
しかし,現場を見て驚いた。4S店はいずれも営業を停止していた。密集していた飲食店や商店は取り壊しの最中である。不動産市況てこ入れ策の一つとして農民工が住む城中村の再開発が進められているのは知っていたが,実際に見ると,そのスケールの大きさとある種の野蛮さに打たれる。随行のスタッフに他にこんな場所があるかと尋ねると,ある,という。そこで,この近くの蒋台地区に向かった。80年代かそれ以前に建てられた4~5階建ての低層アパートが,あるブロックでは丸ごと撤去されていた。周囲にも同様なアパートがあるが,これも早晩取り壊される計画という。棚戸(老朽住宅)改造である。
スタッフによれば,城中村や棚戸の取り壊しで,北京市の人口は減りつつあるという。収入減や失職で家賃が払えなくなり,天津近郊などより家賃の安い地域に移るケースも多いようだ。北京と天津は高速鉄道で結ばれ30分で行き来できるという事情もあるが,天津の物価が安いというのが大きな理由だそうだ。
城中村や棚戸を取り壊し,新たに低所得者向けの住宅を建設することにより1億人の農民工が家を持ち,都市住民としての戸籍をもって生活できるようにする。不動産不況対策に加え,戸籍制度も緩和し農村の労働力を都市に取り込むことで少子高齢化に備えるというのが,党・政府のグランドデザインである。確かに城中村の衛生環境は決して褒められたものではないし,古い集合住宅は,エレベーターもなく,しかも狭い。これらを取り壊し,現代的な住宅に改造するのは悪いことではないが,移住を余儀なくされた住民は戻ってくるのか,また,戻ってきても新たな家を買うだけの資力があるのか。
卵を割らなければオムレツは作れない。この割り切りが党・政府にはあるのだろう。卵を割るのを恐れるばかりにこれを腐敗するまで放置しているのが日本かもしれない。
残っているお店,消えたお店
蒋台路から,幸運街に向かった。幸運街は日本大使館近くにあり,2006年に開発された飲食店が連なる地区であり,その東側にある二十一世紀飯店を常宿にしていたときは,よく会食に利用していた。5年前と比べ,消えた飲食店は目勘定で半分以上である。情報サイトの「企査査」によれば,コロナ禍の中で3割の中小零細企業が倒産したとのことだが,幸運街の状況も似たようなものだ。
幸運街から歩いて数分のところに,SOLANAというショッピングモールがある。2008年にオープンした多大型多目的商業施設で13万平米の土地に,地上2階,地下2階,延べ床面積15万平米の規模を持つ。しかし,中身はこの5年間で大きく様変わりした。欧米のファーストファッション店は殆ど姿を消し,残っているのはZARAのみである。国潮ファッションの店が増えた。値段の高いのは相変わらずだが,アルファベットのブランドの店名は馴染みのないものばかりだ。ZARAを除けば殆ど客が入っていない。同行のスタッフは「こういうショッピングモールでは,飲食店のテナントが増え,衣料品店は減っています。だって,着るものがあれば,新しいものは必要ないけど,食べるのは毎日でしょ」と解説してくれた。
休憩がてら入ったスタバでスタッフが「コンサルティングを依頼してくる企業がガタ減りし,この3年間無給が続いている」という。「ネット通販の手伝いなどして糊口をしのいでいるが,仕事が増える気配はない。日本人駐在員の数もめっきり減った。リスクマネジメントが重要であることはどこの企業も認識しているが,現地法人の収益状況が厳しいうえ,どんなコンサルティングやソリューションを依頼して良いかも現地法人の責任者自身捉え切れていない」と言う。地政学的リスクを個々の企業経営に落とし込むというのは早々容易ではない。言葉だけが浮遊し不安が高まるだけである。
おわりに
12月11日に開催された党中央経済工作会議で真っ先に打ち出されたのが「全方位需要拡大策」だった。これに異を唱えるつもりはない。ただ,需要拡大を担保するのは収入である。おカネがなければモノは買えない。国家統計局は,所得の多寡を5つに分類しているが,年収の上位20%に相当するのが9万元以上の国民であり,約2.8億人に上る。この層が中国の消費をけん引している。持ち家率の高いのもこの層である。モルガンスタンレーは,この5分類を高・中・低に簡略化し,それぞれの層の給与所得の伸び率を推計しているが,高所得層の給与の伸び率は,コロナ禍前の9%からコロナ禍後には3.8%まで低下している。
しかも,雇用不安が蔓延っている。NEV販売が爆発的に拡大する一方,その割を食ってガソリンエンジン車の売り上げは3割以上減少した。BYDは万人単位で雇用を拡大させているが,ガソリンエンジン車メーカーは相次いで工場閉鎖やリストラに追われる。飲食関連は相応の拡大を見せているが,客単価は低下傾向にある。アパレル消費は伸び悩み,衣料品価格は下落する一方だ。これがオンラインファストファッションのSheinやTemuの躍進の一因にもなっているのだが。質の高い成長を目指し,生産現場の自動化,管理のデジタル化も急速に進んでいるが,これが生産・流通現場の人減らしにもつながっている。
少子高齢化が加速し,環境問題もさらに深刻化する今後を勘案すれば,党・政府の政策に間違いはないと思うが,パラダイムシフトには必ず犠牲を伴う。新たな産業はそれに適した人材を必要とする。城中村の改造も住民にとっては転居,あるいは転職さえも余儀なくさせるものだ。
5年振りの北京訪問で実感したのは,このパラダイムシフトに伴う痛みである。党・政府は,「安定を維持しながら進歩を求め,そのためには既存のシステムを維持しつつ創新を確立する」としているが「今年はこれに加え,量の拡大も必要で,既存のものと新たなシステムを統合し,その相乗効果を求める」としている。「先立后破」という言葉は創造的破壊ではなく,創造の後に破壊するという意味だと思うが,そんなに都合よく事が運ぶわけはない。創造には破壊がつきものである。これに,100年に一度という地政学的環境の変化が加わる。党・政府が「正視困難堅定信心(困難を直視しその解決を信じる)」と言うのも頷ける。2025年3月に予定されている全人代では具体的な消費振興策が決議される。財政支出も拡大される見込みだ。これが痛みの緩和につながるか,先行きの安心につながってゆくのか,引き続き観察してゆきたい。
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