世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)
ポストコロナが促す日本の刷新:新たな経済社会の枠組みへ
(エアノス・ジャパン 代表取締役)
2020.07.13
日本の小泉政権は,バスに乗り遅れまいと,アメリカの尻馬に乗り,遅れてグローバル化に走って,日本経済を駄目にしてしまった。チキン戦争のように,極限に突っ走り過ぎると,必ず崖から転落することになる。何でもそうであるが「過ぎたるは及ばざるが如し」である。これからは国民も企業も世界の先の道路や地形を見ながらハンドルを操作し,切り替えなければならない。「バベルの塔」になってしまったら即座にその建設をストップしなければならない。アメリカのトランプは,世界に先駆けて,「アンチ・グローバル化」にハンドルを切っている。しかし,日本の政府要人や財界のトップは,そのことに気付いていなく,未だにグローバル化を推し進めている。
ポストコロナの「新しい経済社会の枠組」みを考えなければならない。ポストコロナで「経済活動をリーオープン」する世界は,それまでのグローバル化の世界に戻ることではない。バベルの塔を一旦解体・整理して,新しい社会を作らなければならない。グローバル化の行き過ぎという「麻薬」から覚めるとき,人間は禁断症状が起こり,イライラしてくるが,やがて新しい社会を創るときがくる。この新しい社会をつくるときに日本の力が試される。
危機,災害に強い社会構造にする,インフラや社会構造を含めて社会の「免疫力」を高める必要がある。残念ながら,疫病は地球をこれから何度も襲ってくる。社会としての「個人,地域の絆」という「兜の紐」を締めなおす必要がある。これからの「超限戦」という「情報戦争」に対しても撃退し,砲撃する態勢を創る必要がある。これが国の免疫力であり,国防力である。
産業も,グローバル化で規模を大きくするのではなく,ドイツの「隠れチャンピオン企業」のような道を歩む必要がある。コングロマリットのように企業規模の拡大を追い求めるのではなく,ある市場分野にフォーカスし,ワールド・ベストの商品を開発し,世界に供給する企業にすることである。規模ではなく,社会に貢献することを目指すことである。そうすると利益は後からついてくる。それにはもちろんイノベーションが要る。
日本の国の内需を拡大し,市場を掘り起して産業を拡大する。良くて,売れる商品とは,ある地域の文化に根差した個性ある商品である。これを持って,リカードの世界である「比較生産優位」の概念で国際分業を進めることである。こうした考えで,ポストコロナの「新しいブレトンウッズ体制」を考えださなければならない。同時に,グローバル化で生まれた国際機関のWTO,WHO,IMFを刷新することに,今度は日本も力を入れる必要がある。
グローバル化で消されていたボーダーがまた浮かび上がり,「国家の主権」を回復するときが来た。ポストコロナの社会造りには,「忖度」を捨て,「私」を捨てた「政治家・官僚とシンクタンク」が,正しい日本の社会経済の枠組みを計画・策定し,十分な資金をもって,実行しなければならない。そして「イノベーション省」を創り,人間社会のための「イノベーション国民運動」を展開することである。
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