世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.3449
世界経済評論IMPACT No.3449

WHOが進める“保健全体主義”:合意形成以前に日本政府は法制化を進める

藪内正樹

(敬愛大学経済学部 名誉教授)

2024.06.17

合意に至らなかったパンデミック条約と国際保健規則修正

 WHO(世界保健機構)は,2022年からパンデミックの予防,準備および対応を強化するため,パンデミック条約締結と国際保健規則(IHR)の修正を目指してきた。しかし,先進国と途上国の間のワクチンをめぐる利害対立などで合意が形成されず,2024年5月27日〜6月1日にジュネーヴで開催された世界保健総会で,パンデミック条約は1年間の継続審議となった一方,IHR修正案は可決が宣言された。

 WHOの規則では,採決に付す議案は,4カ月前までに本部が提出し,加盟国に意思決定の時間を与えることになっている。しかし,WHO本部は総会の4カ月前である1月27日までに最終案をまとめられなかった。したがって規則上は,両案とも廃案か継続審議になるはずである。ところがIHR修正案は,合意可能な部分だけに絞った案が最終日の未明に配布され,これを採択に持ち込んだらしい。採決の様子を写した動画によると,約3分の1しか出席していない。つまり定足数に達していない会議場で,議長が異議は無いかと述べ,次いで採択が宣言された。これについて厚生労働省は「コンセンサスで採択」されたという不思議な言い回しをしている(「国際保健規則(IHR)(2005年)の改正の検討状況について」)。

国民の目から隠されたワクチンの真実

 厚生労働省は,1976年に発足した予防接種健康被害救済制度の認定者数を公表している。それを集計すると,制度発足から2021年までの45年間,新型コロナワクチン以外の予防接種による健康被害として認定された総数は3,522件,うち死亡例は151件だった。これに対し,2021年2月〜今年5月2日の新型コロナワクチンによる認定数は7,144件。うち死亡は567人である。さらに審査待ちがある。つまり,他の予防接種に比べて,新型コロナワクチンは,突出してリスクが高いのである。そのことを,日本政府と大半の専門家とマスメディアは,触れようとしない。

 上記の健康被害救済制度の認定を既に受けた人の中から,ワクチン接種後に死亡した8人の遺族と健康被害を受けた5人の計13人が原告となり,今年4月,「副反応などリスクに関する情報を広報しなかったため被害を広げた」として,計9100万円の国家損害賠償を求める訴えを起こした。訴訟の事実だけは,マスメディア各社は報じている。

 さらに,後述するWCH(World Council for Health)議員連盟の会議に参加した医学博士の吉野敏明氏は,次のように述べた。「米国特許庁のデータベースで検索すると,新型コロナウイルスのm-RNA遺伝子配列が,2018年に特許として登録されている。自然に変異したウイルスなら特許は成立しない。登録されているということは,人工的に作られたウイルスだということを意味している。当然,そのウイルスに効果のあるワクチンも同時に研究され,特許として登録されているはず」。同様に,ジカ熱,エボラ出血熱,SARS,MERSのウイルスも特許として登録されているという。

高まる反対運動と“偽・誤情報”という反撃

 2020年に始まったパンデミックに対するWHOと各国政府の動きに対し,2021年9月に欧米の医師や科学者,法律家,人権活動家が結成したWCHが,製薬メーカーなどの企業利益が優先され,伝統医療や統合的癒しのアプローチが無視されていると批判し,パンデミック条約とIHR修正に強く反対してきた。(IMPACTコラムNo.3345「WHOパンデミック条約,国際保健規則修正を巡る対立」参照)。

 日本でも昨年11月,WCH日本支部や超党派WCH議連が結成され,ワクチン被害に対する国家賠償責任訴訟を起こした遺族,被害者,支援する学者なども参加し,WHOに反対する声を上げ始めた。今年5月16日までに7回の会議を開き,厚生労働省や外務省の担当者を呼び,質問や要求を行なってきた。

 そして,WCH議連などが中心となり,パンデミック条約とIHR修正に反対する集会やデモが行われた。1月14日に日比谷公園(500人),4月13日には池袋中央公園(巣鴨プリズン跡。1万9000人),国会前でも5月22日(500人)と23日(1200人)に,5月31日には日比谷野外音楽堂で3000人集会が開かれ,集会と並行して日比谷公園から京橋まで1万2000人がパレードデモを行った。これら集会・デモについて,4月13日は時事通信,5月31日は夕刊フジ・ネット版が報道したものの,他のメディアは黙殺している。それどころかNHKは,6月1日,「“強制接種進む”などパンデミック条約に関する誤情報が拡散」と題するニュースを配信した。上記にリンクした拙文で紹介した通り,WHOに対する反対や懸念は,IHR修正案が,原規則から「拘束力のない」や「個人の尊厳,人権,基本的自由を十分尊重して」という文言を削除したことに対する当然の議論や懸念である。これを誤情報と決めつけたNHKの報道は,言論統制を伴う“WHO全体主義”の流れそのものと言わざるを得ない。

 特に,上述の吉野敏明氏の発言として紹介したように,新型コロナウイルスが人工的に作られた証拠があると考えられる以上,誤情報はどっちか? ということだ。これは「陰謀論」と似ている。長らく通用してきた「陰謀論」というレッテル貼りは,最近,その多くが「陰謀勢力による言論操作」だという認識が広がっている。

世界に先駆ける日本政府の動き

 日本政府は,2012年に施行された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき,2013年に「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」を策定した。そして,WHOが2022年にパンデミック条約とIHR修正を議事日程に乗せると,日本政府は2023年9月,「新型インフルエンザ等対策推進会議」を発足させ,2024年6〜7月を目処に2013年「政府行動計画」を改定すると発表していた。

 ところが,WHO総会でパンデミック条約とIHR修正が合意できないという見通しが報じられると,今年4月24日,新たな「新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)」とともに,同案に対する意見聴取(パブリックコメント)を行うことが告示された(「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集(パブリック・コメント)について)。

 ここで大きな問題は,行政手続法で一般に30日以上設けることになっている意見聴取期間を2週間に短縮し,しかも,ゴールデンウィークを挟む4月24日から5月7日としたことである。「緊急事態」を宣言して国民の私権を制限することに関わる223ページの文書である。しかも,告示の「意見提出が30日未満の場合その理由」の欄を空欄にした。

 WHOのパンデミック条約およびIHR修正案が合意に達せず,反対運動まで起きている時に,その国内版とも言える「政府行動計画(案)」を,連休を含むたった2週間の意見聴取でパブリックコメントと称するとは,あまりに国民を愚弄しているのではないか。

 そして「政府行動計画(案)」の中で特に目を引くのは,第3部第4章「情報提供・共有,リスクコミュニケーション」で,「偽・誤情報」に関して「流布のおそれ」,「拡散のモニタリング」,情報を正すための「啓発」などが論じられているが,誰が何を根拠に「偽・誤情報」と判定するのか,その判定は事後に検証されるのかは,一切の記述がない。

 以上のような問題がある「政府行動計画(案)」のパブリックコメントに対し,公表から締め切りまでの僅か2週間に,19万通もの意見が寄せられた。一人で複数回答した例もあろうが,例の無い数だという。感染症危機管理担当の新藤義孝大臣は,記者会見で「多くの意見をいただいたが,粛々と進める」と答えており,どんな反対があろうとも,6月中旬に閣議決定する日程を変える気はないようだ。

 さらに岸田政権は,「憲法改正」を日程に乗せた。その改正案は,9条への「自衛隊」付記と,緊急事態条項の付加である。緊急事態条項は,世界各国の憲法では,ある場合と無い場合があり,必要だという議論は成り立つ。しかし,先述の「政府行動計画」と同様に,情報開示と政府権限に対する歯止め,検証と修正のメカニズムを制度化することが必須である。また,憲法改正に連動して,感染症や災害など重大事態が発生した場合に,国が地方自治体に必要な指示ができるとする「地方自治法改正案」も提出され,これは5月30日に衆議院を通過した。

 WHOの財源は,加盟国分担金の他,巨額の資金をビルゲイツの財団,ロックフェラー財団,大手製薬企業などから得ている。金融資本や巨大IT企業がWHOを通じて,情報を統制し,本部の決定に加盟国が従う体制の構築を進めているのである。YouTubeが最も激しいが,多くのSNSでは新型コロナやワクチンを話題にすると強制削除されたり,X(旧ツイッター)では「WCHは偽・誤情報を発信する組織です」という表示が自動的に付加されたりするようになっている。

 WHOの動きを“全体主義”と呼ばずして何と呼ぶのか。そして,日本の政府と多くの専門家,マスメディアは,その“全体主義”の先陣を切って突進しているのである。

世界に先駆けて新型遺伝子ワクチンを承認した日本

 昨年11月28日,明治グループ傘下の「Meiji Seikaファルマ」が申請していた「レプリコンワクチン」が承認されたというニュースが流れた(「コロナ 新タイプmRNAワクチン「レプリコンワクチン」国内承認」)。レプリコンワクチンは,海外で開発された新しいタイプのm-RNAワクチンで,体内に接種されたあと自己増殖するため,従来のm-RNAワクチンより少量で効果を発揮すると報道された。同社は,承認後直ちに福島県相馬市での生産を進めるとしているほか,小田原工場でも生産し,今年11月から接種を開始する予定と報じられている。

 レプリコンワクチンの説明で明らかな通り,人体内で自己増殖するということは,これまで存在しなかったリスクがあるということだ。海外で開発された技術が,なぜ世界に先駆けて日本が承認,生産,接種するのか。それは,新型コロナワクチンを,3回目以降も,最も多く接種し続けているのは世界で日本だけだからだ。世界で唯一,治験を兼ねて接種できるのは日本しかない。言い換えれば,従順な日本人は,実験動物代わりにされるということだ。

軍産複合体を超える医産複合体

 アイゼンハワー大統領は,退任演説の中で,軍産複合体への警戒を呼びかけた。武器ビジネスは,敵対する双方が存在しないと成立しない。敵が降伏して消滅すると,市場が無くなってしまう。死の商人にとって最大の顧客は,憎しみと報復の連鎖である。報復の連鎖は,終わらないように煽られている。戦争は,政治家によって作り出され,マスメディアに煽られ,国民と兵士を犠牲にして,やらされているのである。

 パンデミックとワクチンのビジネスは,恐怖と善意を利用した世論操作を通じて行われる。そして,武器より桁違いに多くの富を一部の人間に集中させる。武器は紛争地,医薬品は特定の病気の患者だけがマーケットだが,ワクチンのマーケットは全人類である。医療と産業の複合体が,地球を支配しようとしていると考えるべきであろう。

(URL:http://www.world-economic-review.jp/impact/article3449.html)

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