世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.2331
世界経済評論IMPACT No.2331

コロナを越えて見えて来るニッポンを問う!:白馬会議ZOOM2021

市川 周

(白馬会議運営委員会事務局 代表)

2021.11.08

 白馬会議は2008年,リーマンショックで世界が揺れ動く中,北アルプスの麓,長野県白馬村で誕生した。白馬に様々な舞台で活動する「志ある知的個人」が毎年集まって来て,この国の未来について熱く意見を交換する。こういうタッチの知的集いが粛々と続いているのが不思議な気もするし,世界にダボス会議があるなら,日本に白馬会議のような場がなくてはならないという気もする。「西のダボス,東の白馬」の気概だ。

 しかし,コロナのため昨年に続き白馬会議の現地開催を今年も諦めざるを得ない。但し,この2年間,私達はコロナの前で只,足踏みをしていただけではない。様々な現場でコロナと格闘しながら,実はコロナを越えて見えて来る新たなニッポンを模索していたのではないか?そんな問題意識と期待の中で,過去12回の白馬会議に集った延べ900名の方々に呼びかけ,今年はZOOMシンポジウムを開催,来年秋の白馬会議再開に向けた知力充実と心意気を喚起したい。

シンポの統一テーマは「コロナを越えて見えて来るニッポンを問う!」―コロナを越えるニッポンにどんな未来が開けて来るのか? 目先の楽観,悲観に振り回されずに,これから向かうべき日本の姿を政治,経済,外交それぞれの視点から注目すべき3人の論客を招いて徹底討議する。

 政治の視点からは金井利之東京大学大学院教授が「コロナ対策禍の国と自治体」のタイトルで報告する。金井氏はコロナ禍よりも「コロナ対策禍」に事の本質を見る。コロナに直面することで日本政治の「基礎疾患」が明らかになったという。改革,官邸主導,印象操作・改竄・偽装などの「免疫暴走」が繰り返されるなかで,足下からじわじわと行政・自治が蝕まれて,経済と社会と文化が苛まれている。むしろ,何もしない方がマシであった。この強烈なシニシズムは金井氏一流の観察眼だが,1940年体制以来の日本の政治社会構造に大胆にメスを入れていかねば次のコロナ型クライシスには耐えられないかもしれないという深刻な問題提起である。

 経済の視点からは武者陵司武者リサーチ代表が「大きな政府時代の到来と日本~変わるゲームのルール~」のタイトルで報告する。武者氏は40年間続いた小さな政府,市場に依拠した資源配分の時代が終わり,財政・金融・制度などあらゆる面で,政府のイニシアチブが求められる時代に入ったと見る。デジタル革命で生み出された膨大な労働と資本の余剰を処理するために,すなわちゼロ金利とデフレ危機に対処するために,さらに専制主義によって台頭する中国に対峙するために,そしてゼロカーボンを達成するためには市場メカニズムの限界が痛感させられる時代であることを認識,覚悟し「大きな政府の時代」に踏み込むべきとする。

 外交の視点からは渡部恒雄笹川平和財団上席研究員が「日本は米中対抗・競争の最前線」のタイトルで報告する。渡部氏はコロナパンデミックが米国の求心力の低下を増幅させた。バイデン政権は中国との競争・対抗路線を取っているが,冷戦期のような全面的な関与をする軍事・経済的な余裕はなく,日本への期待が高まる。日本にとっては危機であるとともに機会でもある。日本は米中に並ぶ大国であるといったノスタルジーを捨て去り,米中大国外交の狭間で生き抜く諸国家群のリーダー的ポジションを目指すべきだという。

 本ZOOMシンポは11月28日(SUN)14:00~16:30開催。参加は無料ご招待。申込は白馬会議HPまで。

(URL:http://www.world-economic-review.jp/impact/article2331.html)

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