世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.2191
世界経済評論IMPACT No.2191

世界秩序の変化の可能性と英米,そして日本のあり方

真田幸光

(愛知淑徳大学ビジネス学部ビジネス研究科 教授)

2021.06.14

 筆者は,世界経済の分類の仕方の「一つ」として,「実体経済」「金融経済」に加えて,「軍事経済」と言う分類の仕方をしている。

これは,覇権Hegemonyを意識する際に,覇権者が押さえようとするものに,

 1.実体経済

 人々が生きていくために必要な経済分野,例えば,水,食糧,原材料,エネルギー,物流等

 2.金融経済

 1.の実体経済を決済する経済分野があり,これを握ることによって,平和裡には,覇権を握ることが可能となるが,覇権者は,更に,「被覇権者が束になって,覇権者にはむかってきた際のリスクはないか」を考えることがあり,

 3.軍事経済

 そうした際には,軍事力を高めなければならず,また,覇権に対抗する者も軍事力を高めようとし,その結果,武器の開発や軍事力の整備の為に経済も膨らむ可能性がある,と言う視点を以って,こうした3分類をしているのである。

 こうした中,今般,直近の世界の軍事費統計を見ると,昨年は1兆9,810億米ドルとなり,コロナ禍でも最大を更新していると報告されている。

 世界は,覇権主義の下,混沌chaosが深まり混乱disorderとなり,更に無政府状態anarchyに向かっているのではないかと不安になる。

 こうした中,日本は,「海洋国家,その強みを生かすべきである!!」と筆者は考えている。

 筆者(真田)の家では,「義」を守りながらも,「現実との折り合いをつける」と言うことをしながら,「死ぬまで生きる!! 即ち,生に固執する」ことをモットーとせよと教えられてきた。

 そして,真田は日本の一国民として,今,統一国家となった日本が,世界の中で,日本の立ち位置をしっかりと認識して生き延びていくことを考えていかなくてはならないと思っている。

 そう考える時,日本の世界に於ける強みは,「島国としての海洋国家性」にあると言えよう。

 さて,先ず,その海洋国家とは,「その隔離された環境から他の地域の影響が及びにくく,国内の団結力を維持し,海上交通力と制海権を握ることで,貿易によって国家の発展と存立に必要なエネルギーを取得できるとされる」と定義されており,明治維新後の一時期と,第二次世界大戦後は,正に,米国との連携の中で,その強みをしっかりと示して,日本は世界の中で存在感を示してきた。

 日本は,強大で強固な海軍力を今は有していないが,米軍の力を借りながら,外敵を防ぎ,エネルギー供給の妨害を排除するとともに海上交通路(シーレーン)の要衝(チョークポイント)を押さえているとも言え,その結果,今や,領土を拡大する必要はないと思われ,条件付きではあるが,「平和国家」としての要素を満たしていると思う。

 更に日本は,海洋国家に於ける防衛上の利点となる海洋を天然の城壁とし,常に外敵の脅威を受けやすい大陸国家に対して外国からの領土侵攻の危機も少ない状況を構築している。

 他国の領域を通過することなく比較的自由な交易が可能であり,必要な物資や文化を導入することが出来ることも,日本の今の繁栄の礎となってきているものとも思う。

 こうした基本要件を持つ日本は,国家戦略として,

 *海洋交通の要衝における戦略的な姿勢や,海軍基地の戦略的展開,国民の海洋民族性,政権の海洋戦略を構築する。

 *国際的な関わりの中で国民的生存・繁栄を手にする国家戦略を構築する。

 *その為にも,何よりも,国際的な協調体制を構築する。

は,こうした結果,日本の平和と繁栄が確保されると筆者は考えている。

 そして,こうした海洋中心の海洋戦略を改めて,国家の指針として構築することにより,地政学的に島国であり,資源のない日本としての,現実的な国家安全保障政策を構築すべきであるとも考えている。

 そこで,現実との折り合いをつけながら,日本が取るべき国家戦略というものを真田なりに考えてみると,日本は,何よりも,先ずは,「いざとなれば鎖国出来る国作り」を推進すべきであると思う。誤解無きように,ここで強調するが,「鎖国するのではない」。究極の対応姿勢として,「鎖国をしても生き残れる国を未然に構築しておく」という意味である。そして,その為に,日本としては,「人々が生きていくために必要な最低限のもの」であるところの,「水,食糧,原材料,エネルギー」の自給自足,国内調達可能体制の確立をまずは急ぐことを必要とする。具体的には,「食糧自給を高める為の,善意ある品種改良,養殖,畜産の拡大等」「自然エネルギーを主とし,補助電力として,化石エネルギー,その中でも日本周辺で調達できるメタンハイドレートを利用した火力発電の拡大等」「日本にある素材をもとにした新素材の開発等」に向けて,産官学・金融が連携した研究開発と商品化推進を何としても図っていくことが最初の作業となる。

 その上で「世界が必要とするモノやサービスを,世界の競合相手を調査した上で,出来る限り日本からしか提供出来ないような分野に焦点を絞り,その分野,産業,業界,企業を育てるべく,“人,モノ,金,情報”を民間企業や研究機関などに提供する政策支援を拡大して,“日本を,世界が生きていく為に必要な国”に仕上げていく,そして,世界に必要なモノやサービスを,“量と価格”をなるべく安定化させて,世界に提供する国家として日本は再び変身し,その結果,日本は欲張りすぎず,世界から,“適正利潤を戴く国家”となる。さすれば,世界は日本を殺せないはずである,そしてそれを,担保として,“最低限の抑止力としての国防体制”を整える。

 こうして,いざとなったら鎖国出来る国作りに邁進し,しかし,世界が必要としてくれれば,世界と仲良くお付き合いする。こうして,世界と平等に生きていける国,世界と共存できる国,そして世界から信頼してもらえる国に仕上げていく。

 また,その為に,先ずは,“価値観の共有が出来る国”と連携する,即ち,日米同盟だけではなく,英国連邦をコントロールする英国との間で,“新日英同盟の締結”を図った上で,日本と同様に,小国ながらも経済力,技術力があり,更に,日本以上に,情報戦も含めた国防力の強い,“スイス,イスラエル,シンガポール”とDeal by Deal, Case by Caseで緩やかな,かつ総合的な安保連携を構築していくべきである。」と筆者は考えている。

そして,その為にも,「島国日本」の優位性を活かしていくべきではないかと考えているのである。

(URL:http://www.world-economic-review.jp/impact/article2191.html)

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