世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.3463
世界経済評論IMPACT No.3463

中国に完全従属するロシアの知識産業

朽木昭文

(国際貿易投資研究所 客員研究員)

2024.06.24

 世界の知識産業の動向:「知識産業製造業は1位中国,知識産業サービス業は1位アメリカ。ロシアはその0-2%程度。イタリア,イギリス,フランスの存在感がない(10%以下)。日本,韓国が健闘。

1.知識産業の付加価値額の順位(2019年)(注1)

 知識産業を付加価値額の点から世界主要国を見てみる。知識産業は,大きく知識「製造業」と知識「サービス業」の2つに分けることができる。知識製造業は,知識・技術・製造業(注2)とコンピュータ技術・光学器(注3)に分ける。また,知識サービス業は,知識・技術サービス業(注4)とIT情報サービス業(注5)に分ける。

 (1)「知識・技術・製造業」において,中国が1位であり,アメリカが2位である。同分野ではアメリカは中国の付加価値の3分の2であり,中国が大きな位置を占めている。また,3位以下では,日本29%,ドイツ23%,韓国13%である。6位以下では,イタリア,イギリス,フランスが5%程度でロシアが2%である。

 (2)同様に,「コンピュータ技術・光学器」においても,中国が1位で,アメリカが中国の付加価値の83%を占め2位である。コンピュータ技術に関しては,3位以下では,韓国,日本,ドイツの順であり,中国の4分の1前後となっている。6位以下では,イギリス,フランスが5%程度でロシアが1%である。

 (3)「知識・技術サービス業」おいて,知識・技術・製造業と異なり,アメリカと中国の1位と2位が「逆転」する。中国の付加価値はアメリカの28%に留まる。3位以下では,日本,ドイツ,フランス,イギリスの順で,それぞれアメリカの13%前後である。これに韓国9%とイタリア6%が続く。ロシアは3%である。

 (4)「IT情報サービス業」に関しても4位まで「知識・技術サービス業」と同じ順位である。中国の付加価値はアメリカの23%である。3位が日本で,4位がドイツで,それぞれ19%,16%である。5位のイギリスと6位のフランスの付加価値は,それぞれのアメリカの14%,11%である。次いで7位のイタリアと8位の韓国のそれが,6%,5%と続く。ロシアは1%である。なお,ロシアは,以上の業種で首位国の付加価値の1~3%程度である。

2.パテント取得数の順位(2022年)

 次に,知識産業のパテントの取得数の順位を見ていく。知識産業製造業では,「半導体製造」と「コンピュータ技術」を。知識産業サービス業では,「デジタル通信技術」と「遠距離通信」をそれぞれとりあげる。

(i)「半導体製造」

 半導体製造のパテント数は,中国が1位で日本が2位である。日本のパテント数は,中国の87%と健闘している。3位アメリカ,4位韓国,5位ドイツは,それぞれ中国の50%,25%,11%である。EUでは,フランスが4%,イギリスが2%,イタリアが1%である。なお,ロシアは0%である。

(ii)「コンピュータ技術」

 コンピュータ技術のパテント数は,中国が1位で,2位がアメリカである。アメリカのパテント数は中国の72%である。3位日本,4位韓国のパテント数は,それぞれ中国の31%,22%で,EUでは5位ドイツ,6位イギリス,7位フランスで,パテント数はそれぞれ中国の8%,5%,4%である。イタリアとロシアは1%である。

(iii)「デジタル通信技術」

 デジタル通信技術のパテント数は,中国が1位で,2位がアメリカである。アメリカのパテント数は中国の58%である。3位日本,4位韓国のパテント数は,それぞれ中国の26%,22%である。EUは5位ドイツ,6位フランス,7位イギリスで,パテント数はそれぞれ中国の3%,2%,2%である。ロシアは0%である。

(iv)「遠距離通信」

 遠距離通信のパテント数は,中国が1位で,2位がアメリカである。アメリカのパテント数は中国の64%である。3位日本,4位韓国のパテント数は,それぞれ中国の50%,42%である。EUは5位ドイツ,6位フランス,7位イギリスで,パテント数は,それぞれ中国の5%,4%,4%である。ロシアは0%である。

 以上の結果として,中国の存在が大きく,EUの存在は小さい。日本と韓国が健闘し,ロシアの存在はなきに等しい。

[注]
  • (1)統計はNSF (US National Science Foundation).
  • (2)航空宇宙,医薬品,コンピューター・エレクトロニクス・光学機器,兵器・武器,自動車,医療機器,機械装置,化学,電気機器,鉄道・輸送機器が含まれる。
  • (3)2019年の世界のコンピューター・エレクトロニクス・光学機器産業付加価値額 国際比較統計・ランキングです。
  • (4)科学的研究開発サービス,ソフトウエア出版産業,IT・情報関連サービス産業が含まれる。
  • (5)各国のIT・情報サービス業
(URL:http://www.world-economic-review.jp/impact/article3463.html)

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