世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)
2020年,人類は滅亡するか?:中東,南シナ海戦争は起こるか?
(Global Issues Institute CEO)
2018.11.19
私は中間選挙までに,トランプ政権はイランを追い詰め,中東戦争を起こすことで,中間選挙を乗り切ろうとすると考えていた。しかし中間選挙投票日の前日に発表されたイラン制裁は,一部の国にイラン石油の禁輸を180日間猶予し,また国際決済システムSWIFTからイランの全ての銀行を追放にはしないものになった。そのためか中東戦争は起きなかった。
その理由はサウジがジャーナリスト行方不明事件のために信用を失い暫くは対イラン戦争に協力してもらうことが難しくなったことは小さくないだろう。
では中東戦争は今後,起こらないのか? 私は,そうは思わない。
例えば,アメリカ海軍は今年に入ってから,ペルシャ湾での展開兵力を減らして来たと言う。これからイラン制裁を厳しくしようと考えられていた時にーである。ペルシャ湾の守りを薄くすることで,イランに攻撃させ易くする。そういう思惑がトランプ政権にあったのではないか?
つまりアメリカ,イラン,サウジ,トルコ,ロシア,米英仏等にとって,最も良いタイミングで中東大戦を起こすための“駆け引き”が行われ続けているのではないか?
そう考えると次のタイミングとしては,もし下院で大統領弾劾や重要な軍事予算が否決された時等が,考えられるだろう。
2019年5月に制裁が見直される時に,トルコ等への猶予が本当に終わるのか? あるいは金融制裁が全面的なものになるのか?―が次のタイミングだろう。
また米英仏はSWIFTを介さない決済システムを構築することで,イランとの石油取引を,アメリカの制裁後も継続することを検討しているらしい。このことはイラク戦争の真の原因が大量破壊武器ではなく,イラクが石油をドルではなくユーロでも売却しようとしていたためであるという情報を思い起こさせる。そのようなシステムが作動し始め様とする時が次の中東大戦が起きるタイミングだろう。
そのようなことが無かったとしても,対中関税戦争等のために,アメリカ経済が悪化したりして,トランプ大統領の支持率が急落したら,大統領選再選を乗り切るために,トランプ大統領が中東大戦を仕掛ける可能性は低くは無い。
今年11月初旬に中東大戦が起こらなかった原因として,そのような事を仕掛けなくとも,共和党が中間選挙で悪くない結果が出せそうな趨勢になって来たことが,小さく無いと思われる。そうであれば2020年の大統領再選が危うくなれば,トランプ大統領は中東大戦を仕掛ける可能性も小さく無いと思われる。
中東ではないかも知れない。南シナ海かも知れない。
私は繰り返し軍事のハード・ウエア専門家の意見として,中国が南シナ海に拘っているのは,南シナ海に潜ませた潜水艦からの水中発射核ミサイルで,アメリカ本土を脅かす事で,世界の支配権を奪取することこそが,真の目的であると述べて来た。それをアメリカが許すだろうか?
しかし潜水艦発射核ミサイルは,命中精度等の問題で,地上発射INFに劣る。さらに敵の先制攻撃に対して,地上発射核ミサイルより安全なことから,地上発射核ミサイルによる攻撃で相互に被害を被った後に,第二次攻撃を行うことが目的である。
そのため潜水艦発射核ミサイルは,先制攻撃の脅威で相手に戦争を起こさせない効果は少ない。やはり安定した地上発射の核ミサイルの方が“抑止力”としては効果的なのである。
そこで米国はINF全廃条約から離脱したのではないか?
南シナ海での中国の人工島等を米国が攻撃したら,中国のICBMでアメリカの大都市等が攻撃される。中国の保有するICBMは,公称で50ないし100発程度であるが,実際には1000発以上を保有しているのではないかという情報もある。米国の大都市が幾つか中国のICBMで破壊されただけで,アメリカは経済的に破綻する。それに対して中国はアメリカの報復攻撃で1億人が死亡しても問題ない。また南シナ海を射程に入れる中国南部にも,中国は中距離ミサイルを,やはり500発以上,保有しているという情報もある。
そこで米国がINFを保有する意味が出て来る。南シナ海を睥睨する中国南部を狙うことが出来る場所に米国のINFが配備されれば,もし南シナ海の人工島等を米国が攻撃したりしたとしても,中国は報復核攻撃が出来ない。中国南部の中距離ミサイルが破壊されるだけではない。そのような位置にある米国のINFは,上海にも北京にも届くのである! 中国が米国をICBMで脅かしたとしても,このINFの方が早く到達するため,アメリカを中国は核で脅かすことはできなくなる。
具体的には台湾やインドの東岸沖の島等が有力な候補地だろう。そこに米国のINFが配備されれば,それは南シナ海戦争―少なくとも人工島の破壊と,それに対抗する中国の艦船による米国艦船への攻撃のような事態が近いという可能性が低くない。偶発的に大規模核戦争に発展しないとは断言できなが…。
台湾やインドの東岸沖の島等に米国のINFが配備されるとしたら…。そして2020年の大統領選挙で,トランプ氏が劣勢に立たされることがあるとしたら…。
その時が南シナ海戦争が,最も起こり易いタイミングだろう。
われわれ日本人は中東,南シナ海戦争に備えて準備をして置かなければいけないのではないかと思う。2020年までに…。
関連記事
吉川圭一
-
[No.2752 2022.11.21 ]
-
[No.2483 2022.04.04 ]
-
[No.2405 2022.01.31 ]
最新のコラム
-
New! [No.3627 2024.11.18 ]
-
New! [No.3626 2024.11.18 ]
-
New! [No.3625 2024.11.18 ]
-
New! [No.3624 2024.11.18 ]
-
New! [No.3623 2024.11.18 ]