世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.672

2050年の世界経済マラソン,依然日本はG7第2位

市川 周

(白馬会議事務局代表)

2016.07.19

 日本人にとって,なんとも嬉しくなる未来予測が出た。世界4大会計事務所の1つであるPricewaterhouseCoopersが今年の5月に発表した『2050年の世界——世界の経済力シフトは続くのか?』だ。

 この予測によれば2030年から50年にかけて,GDP規模(市場為替レート・米ドルベース)で見た世界経済は中国,米国,インドからなる3G体制が確立する。さて日本の順位だが,2014年時点で米国,中国に次いで3位。2030年ではインドに抜かれて4位になるが,2050年でも何とか6位につけている。この時点でまわりを見渡すと,2014年には日本に次いで4位から6位につけていたドイツ,フランス,英国というかつての「G7」仲間はさらに後ろに追いやられ,ドイツ10位,英国11位,フランス12位と続く。

 2050年の世界経済マラソンをもう少しつぶさに観察すると,新しいスターの登場に驚かされる。現段階での新興国有力選手といえば中国,インドに加えブラジル,メキシコというとこだが,これから括目すべきはインドネシアとナイジェリアだ。現在17位のインドネシアは2030年には11位,2050年にはインドに続いて世界第4位に躍進。日本の対中国バランス戦略ではいつもインドとの連携が想起されるが,もっと足元にインドネシアという頼りになる隣人がいることもしっかり認識しておくべきだ。現在でも南アを追い越しているナイジェリアは2030年頃までは20位前後の状態だが,2050年には世界ランキング9位につけ,アフリカ代表の座を固めることになる。ASEANメンバーのレース展開では,インドネシアに続く躍進を見せるのがフィリピンとベトナム。フィリピンは現在の28位から2050年には21位へ,ベトナムも同期間に31位から25位へ。一方,タイ,マレーシアは2030年以降,20位台前半で足踏み状態にあり,「中進国の罠」的様相を示している。

 日本の奮闘ぶりにもう一度,目をやると,我が民族なるもほんとに頑張ってる気がする。この予測対象国32ヶ国(世界全体のGDPの8割強を占める)の2050年までの人口増加率では年平均マイナス0.5%で最低最後尾。それでも先頭グループからずり落ちないでいられるのは何故か。それは,「G7」のなかでもドイツと並んで突出している「一人当たりGDP成長率」にある。労働力人口のとめどもない減少に打ち克つには,日本人ひとりひとりの労働生産性を上げていかざるを得ない。その裏付けとなるのが「対GDP投資比率」である。本予測では2014年から2025年に至る日本の同想定比率(年率)が24.8%と他の「G7」各国を大きく引き離しており,2025年以降も「G7」の中で先頭を走る形となっている。日本経済の衰退を堰き止める基本は人材や技術に対する弛まぬ投資意欲にある。

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